Webライターとして駆け出しの頃は、文章作成の壁にいくつもぶちあたりますよね。
上手にまとめられなかったり、速く書き上げられなかったり、修正を何度も依頼されたり…..
今回取り上げる「新しい文章力の教室」では、そんなWebライターがぶち当たる悩みを解消してくれる思考法、作成方法が満載です。
本記事では、本書の中でも冒頭の「論理的な文章作成方法」をピックアップ。文章作成に悩む人にとっては、きっと活路が見出せるメソッドになっていますので、ぜひ参考にしてください。
新しい文章力の教室とは?
著者は月3000本以上の記事を配信するニュースサイト「ナタリー」の編集者。実際の研修で用いる文章作成メソッドを、一般向けに解説した書籍です。
Web特化ではないですが、全ライター必読といっていいほど、基礎的で実用的な内容が書かれています。基礎力を上げたいWebライターは一読して損はないでしょう。
文章作成の前提の考え方
ライターの中には、いきなり文章を書き始める人も多いのではないでしょうか。
ですが、何も準備をしないで書き始めることは、目的地がない旅路に出るようなもの。
それはそれで楽しみがありますが、仕事として文章作成するのであれば、迷う時間はなるべく省くべきです。
そのために本書では、「良い文章」の定義づけと「主眼と骨子からなる構造的作文方法」を身につける重要性を説いています。
この技術を身につけることで、より文章作成にかけていた時間が短縮され、プラモデルを組み立てるように順序立ったものになっていきます。
良い文章とは?
定義はさまざまありますが、本書では、「完読される文」を目指して文章力向上を目指していきます。
特にWeb記事は、完読してもらうことは困難です。
つまらない、役に立たないと思われたらすぐにページから離脱されます。読者に魅力的に感じてもらうためにも「完読される意識」はとても大切です。
本書ではより具体的なイメージを膨らませるために、「完読される文章=完食されるラーメン」と例えています。
「完読される文章とは?」と問われてもなかなか答えを導きづらいですが、「食べ残してしまうラーメン」でしたらどうでしょうか。
「美味しくない」「自分の求めていた味と違う」「多すぎる」「虫が入っていた」…..
これを文章に置き換えて考えると、自ずと「完読される文」が導けます。
「文がわかりづらい」「自分が知りたい情報ではない」「文量が多い」「情報が間違っている」….
従って、これらの逆を目指すことで、完読される文章に近づくことができます。
主眼と骨子を組み立てる
論理的な文章にも解釈がさまざまありますが、本書では「主眼と骨子が成立している文章」と定義づけています。
主眼とは、要となるテーマを指します。
別の言葉では、コンセプト、切り口、意義づけなどと呼ばれます。主眼を決めるとは、その文章で何が言いたいのか、何を言うための文章かを決める作業です。
骨子は、主眼に辿り着くまでの経路です。何を、どこから、どれくらい話すかを決めていきます。
文章の層(レイヤー)を意識する
完読されるための工夫を思い浮かべると、「ひたすら文章を上手に、きれいに気の利いた言葉を並べられるようにする」などと考えを膨らませるかもしれません。
ですが、表面を綺麗にする努力は本質的ではありません。
本書では「文章の層」を意識することが大事としています。
まず一番表層が「言葉遣い」。
その下には、どんな言葉を並べても伝わる「論理」が仕込まれています。
その下に、普遍的で変わらない「事実」の層があります。論理はこの事実を組み合わせて作られています。
組み立て手順
文章の組み立てはプラモデルのイメージで
なぜ「主眼と骨子」を決めることが重要なのか。本書ではより重要さを表すべく、「丸太とノミ」の例えを出しています。
ただ丸太とノミを渡されてガンダムを作ってくださいと渡されても何もできないですよね。
しかし、これがプラモデルだったらどうでしょうか。
プラモデルには完成図(箱絵)、取扱説明書、そして組み立てていくパーツが揃っています。これなら組み立てていけそうですよね。
文章作成をプラモ化、ビジネス用語では仕組み化、フレームワーク化していくことで、より効率的に、間違いがなく文章を作成することができます。
まず、パーツを取り揃える
では、実際の作成手順を解説していきます。
まず最初は、パーツを揃えることから始めていきましょう。その中で何が一番言いたいことなのかを考え、クローズアップする内容を決めるという手順です。
自分の手持ちの情報を箇条書きで書き出したり、情報が足りなければリサーチをしてパーツを集めてきます。
この時点では、順番や整合性は無視してOK。どんどん思いついたものを書き出したり、リサーチしていきましょう。
主眼をセットする
パーツがある程度揃ってきたら、その中で、一番言いたい「主眼」を決めていきます。
本書では、漫画家である小山氏と、真心ブラザーズが対談をする想定で説明しています。
例では、「選ばれた人が招待される」「会場がプラネタリウム」、音楽サイトで取り上げることを仮定して「真心ブラザーズがトークイベントに出演」などが挙げられています。
Webライティングだと、ニーズやキーワード想定によって主眼のセットが変わってきます。
骨子を組み立てる
主眼を決めたら骨子を要素(なにを)→順番(どこから)→軽重(どれくらい)の手順で組み立てていきます。
要素はいままで取り揃えてきたパーツです。
次に順番決めです。
どのように話を進めて、いかにストーリーを立てるかが肝になります。
基本は一番重要なことがらを先頭に持ってくる「サビ頭」が主流です。
Web記事はつまらなくなったらすぐにページから離脱されます。最初に読者の心をぐっと掴むためにも、「サビ頭」の心がけは大切です。
次に軽重を決めます。
どれくらいの重さ、長さを決めていきます。本書では主眼をもとにABCの3段階評価で軽重を決めることをすすめています。
話題を主眼に沿って取捨選択する
骨子がある程度組み立てられたら、主眼をもとにいらないパーツを取捨選択していきます。
主眼との関係性や、話の流れを考えて、完読の妨げになるようだったら思い切って捨ててしまいましょう。
準備ができたら書き始める
主眼と骨子が完成したらいよいよ執筆作業スタート。全くのゼロからではなく、用意したパーツと構造をもとに肉付けしていくイメージです。
ですが、執筆を始めると文章をどう書いたらいいか迷う瞬間もあると思います。
本書では手が止まった瞬間の対処法がいくつか紹介されています。
まず、前提として完成度よりも全体が把握できるかを優先して取り組むことが大事です。そして、完成度が低いと感じても、まずは最後まで書き通すこと。
一旦ゴールまで辿り着くことで、おのずとどのように修正すべきかが見渡せるようになります。
また、文字数が多い場合は細切れに考えることも大切。
2000字以上は上記であげた文章作成法をいくつかに切り分けて考えると組み立てやすくなります。
それでも進められない場合は、パーツや構造自体に問題があるかもしれません。一度人に話す気持ちで見直し、足りない部分は再度リサーチして肉付けしていきましょう。
速く、正確に、わかりやすく書くコツ。できるところから実践しよう!
Webライターに限らず、文章を書く仕事は完成度と同時に書くスピードを求められます。
どんなに綺麗にわかりやすくまとめられても、速く書かなければ仕事は務まりません。今回取り上げた文章作成法を参考に、よりスピードアップできる文章作成方法を身につけてくださいね。