運動や勉強を習慣化したい….と思っていてもなかなか続かないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
実は習慣化ができない理由には、脳の仕組みが関係しています。この仕組みを理解し、対策を講じていくことで習慣化が楽にできるようになります。
今回は習慣化できない理由を紹介。併せて対処すべくコツも紹介していきます。
今度こそ習慣化を身につけたい!と強く願っている方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
習慣化できない理由①:現状維持バイアス
習慣化を阻む原因の1つ目は、現状維持バイアスです。
現状維持バイアスとは、人間が現状のままを好む傾向がある心理を指します。1988年に経済学者のウィリアム・サミュエルソン氏とリチャード・ゼックハウザー氏が提唱しました。
バイアスは日本語では「偏り」を意味します。つまり、現状維持を好むが故に、ある偏ったものの見方をしたり判断してしまう傾向です。
現状維持バイアスは「損したくない気持ち」から生まれる
この現状維持バイアスは、現状を変えることで損をしたくないという「損失回避バイアス」が働くために起こります。
人間は、同じ現象だとしても損失の方が大きく反応してしまう傾向があります。そのため、どうしても攻めよりかは守りに入ることが多くなってしまうんです。
例えば「1万円を得る喜び」と「1万円を失う悲しみ」を比較してみてください。同じ1万円でも失う方が心理的負担が大きく感じませんか?
この特性があるからこそ人は損失を避けようとし、結果的に「何か変えるより今のままがいい」と考える傾向にあるのです。
習慣化できない理由②:ホメオスタシス
現状維持バイアスの他にも、人間には、「ホメオスタシス」(恒常性)という機能があります。この機能があることで、例えば外気温がどんなに寒くても、逆にどんなに暑くても、自動的に体温が一定に保たれています。
これは、身体的変化だけではなく、精神的変化においても同じことが言えます。つまり、大きな変化を起こしても、元の状態に戻ろうとしてしまうのです。生命維持のためには必要な機能ですが、習慣化を考えると、この「大きな変化を嫌う性質」をいかに調節しながら続けるかを考えなくてはいけません。
人間は「いつも通りの行動」は安心して行いますが、「新しい行動」には大きく抵抗します。
逆を言えば、少しずつ抵抗をなくし、「いつも通りの行動」に変えていければ強い意志がなくても、無意識でできるようになると言えます。
習慣化できない理由③:複数の行動を一度に習慣化しようとしている
習慣化しようと考える時、「複数の行動」を習慣化しようとしていませんか?
たとえば、終業後に1時間の勉強を習慣化しようとします。しかし「終業後に1時間勉強する」だけでは習慣化できません。そのために残業しないようにしなくてはいけないし、ご飯の時間も調節しなくてはいけないし、そもそも「勉強する」という習慣自体を身につけなくてはいけません。
習慣化するためには、いかに小さく、少ない行動を少しずつ変えていくかが鍵となります。
習慣化できない理由④:人間は正しさより「快楽」を優先する
脳の厄介な性質で「快楽を優先する傾向」があります。
例えば、続けたい習慣を挙げてみるとどのようなものがあるでしょうか?
運動、筋トレ、資格の勉強、スキルアップ、英語の勉強、ストレッチ、ヨガ…
これは一般的に習慣化してみたい行動です。しかし、「自らしたい行動か」で考えてみるといかがでしょうか?
全てが自発的に行動できるものではありませんよね。もちろん、習慣化したいのだから自発的にやりたい行動だよ!と思うかもしれません。
しかし頭ではそう思っていても、脳はそうではないかもしれません。
と言うのも、続けるためにはその行動自体が「快感を覚えるもの」でないと続かないのです。
つまり、「正しい」とされている行動は続かず、「楽しい、快感だ」と思う行動でなければいけません。
人間は欲望に忠実。自分が心地よくなる行動を考えよう
「快」か「不快」かを判断する場所は、脳の「扁桃核」とよばれるところです。
この「扁桃核」が「快」と感じた行動は自発的に行動し、「不快」と感じたものは遠ざける傾向があります。
この「快」か「不快」を判断するのは脳が勝手に下すので、意思は関係ありません。
何も続かずに挫折している…..と思い悩んでいる人も、スマホで動画を見たり、甘いものをつい食べてしまう….などは継続できてますよね。これは「快」を感じているから続けられると言えます。
「快」は言葉を変えれば「欲望」です。行動することで何かの欲望が満たされなければ、自発的にならないのです。
そのため、もし続けたい行動があるなら、自分がどうしたら「快」を感じるかを考える必要があります。
習慣化のコツ①:時間がかかることを覚悟する
では、ここからは、習慣化できない原因を踏まえて習慣化を身につけるコツを紹介していきます。
1つめは「時間がかかる前提で習慣化を身につけること」です。
そもそも習慣化の定義は、人間が無意識にしてしまう行動を指しますが、無意識化できるまでは、一定の時間が必要です。
期間は簡単な行動でも平均で18日、難しい行動になると平均で254日かかります。
そのため、3日坊主で続かない人は、そもそも習慣化に至るまではさらに長い期間が必要であると意識した方が良いでしょう。
習慣化のコツ②:ハードルを下げる
習慣化のコツ2つ目は「目標達成のハードルを下げること」です。脳の特性「現状維持バイアス」を打破すべく実践したい方法です。
これは脳が快楽を感じると習慣化しやすくなる仕組みを利用しています。
まず誰でもできるほどの小さな目標を設定し、何度もクリアすることで脳が快楽を感じます。そうすることで行動することに強い結びつきが生まれ、習慣化がしやすくなります。
また、目標を少しずつ引き上げていくことで今までできなかったことができるようになります。これは「シェイピング法」と呼ばれ、行動療法やペットのしつけなどで出てくる考え方です。
例えば、朝起きて2時間勉強することが最終目標だとします。そのためにはまず2時間早く起きるか、朝やっていた行動をやめる必要がありますよね。
一度に全てを達成することは難しいので、まずは「30分早く起きる」「1時間早く起きる」「朝やっていた行動1つを夜に行う」などと段階的に行動変容していくことで、少しずつ目標達成ができるようになっていきます。
習慣化のコツ③:習慣化したい行動を”心地よいもの”にする
これは人間が快楽を優先する傾向を利用したものです。
楽しいもの、心地よいものしか続かないのなら、そういった行動に変容していくことが一番手っ取り早い方法です。
例えば、習慣化したい行動のあとにご褒美を用意することで、その行動の後はご褒美が待っている!と脳が覚えるため、その行動自体が「快楽」に変わっていきます。
先ほど例に挙げた「朝30分起きる」を達成した後に、大好きな高級コーヒーを飲むようにすると、「ご褒美」効果でより30分早く起きるのが楽になってきます。
また、その行動自体を「快楽」にすることも有効です。例えば、ランニング中に好きな音楽を聴きながら走ることで、ランニング中は楽しい音楽を聞ける!と脳が覚えてくれるため、その行動も「快楽」に変わっていきます。
まとめ
習慣化できない….と悩んでいた方もその理由が少し掴めてきたのではないでしょうか?どうしてもやる気で続けようとしてしまいますが、そのやる気がなくなってしまうと習慣化が難しくなってしまいますので、ぜひ今回紹介した脳の仕組みを活用して、効率的に習慣化を身につけてください。