コミュニケーションが難しく感じたり、なかなか人と分かり合えない…といった悩みを持つ方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
相手とうまく分かり合えないと、自分を攻めてしまったり相手に攻撃的になったりと、関係性を発展させる上で障害になりかねません。
そこで考えたいのが、人間それぞれ少なからず持っていると言われている「認知の歪み」についてです。
人間関係に悩む人は、この「認知のゆがみ」が強く出てしまい、言動に現れているかもしれません。
今回は、認知の歪みの10パターンをそれぞれ解説。本記事を参考に、まずは、自分がどの歪みを持っているか「知ること」から始めてみてくださいね。
認知の歪みはなぜ起こるのか?
認知の歪みの元は、「スキーマ」と呼ばれる固定観念が関係しています。
スキーマとは心理学の言葉で、過去の経験や知識から、それらに共通したものを抽出し、一般化することです。
これが元となり、なにか物事が起きたときに自動的に思い浮かぶ「自動思考」が生まれます。
この自動思考がポジティブなものなら良いですが、極端だったりマイナス要素が強いと、自分や他人を傷つける「認知の歪み」に変換されるのです。
例えば、成績が悪いと怒られたり無視される環境で育った人は、「成績が良くないと存在を認めてもらえない」と自動思考が生まれ「いつも仕事の成績が良くなければ」と感じてしまいます。
一般的に他人との関わりの中で、物事の捉え方は学習していくため、認知の歪みが修正されたり解消することもあります。
しかし、人間は少なからず「自分の考えは正しい」と思いたい生き物です。解釈の歪みに気づかず、全て正しいと強く思うほど、なかなか認知の歪みは修正されにくく、時間が経つにつれ悪化しやすくなってしまいます。
認知の歪みとどう向き合えばよい?
認知の歪みを修正していく過程は行動療法的考えで、うつ病の治療と似ていると言われています。
近年の行動療法のスタンダードは「考え方の柔軟性を向上させる関わり」と考えることです。
”歪んでいるから矯正する”と考えるのではなく、”自分自身の考え方の癖を理解し、その上でさまざまな考え方を知り、柔軟性を高めていく”ことが大切です。
なので、まずは認知の歪みのパターンを知り、日常生活で「今、こういった認知の歪みがあるな」と気づきを得ることが重要です。
認知の歪み10のパターン
では、実際にどのような認知の歪みがあるのか解説していきます。パターン分けの考え方にはいくつか説がありますので、今回紹介する考え方はその一例と考えてください。
また、10パターンそれぞれが独立しているわけではなく、それぞれの要素が影響し合い認知の歪みが生まれています。
自分自身がどの要素が強いかを照らし合わせてみてくださいね。
白か黒、0か100思考
全ての物事において、白黒はっきりしなければいけない、やるからには100にしなければ0と同じであると捉える思考です。
例えば、テストで100点を取らなければ0点と同じと考えがちな人は、この白黒思考に当てはまるでしょう。
完璧主義的な考え方ですが、あまりにも極端だと自分にも他人にも傷つけてしまいます。
一般化のし過ぎ
一つ嫌なことが起きるとそれがずっと続くと考えたり、さまざまな物事に結びつけて「いつもこうだ」とネガティブに捉えてしまう思考です。
例えば、仕事で少しミスをしただけで、「自分はいつも失敗する。だからこの先も失敗し続けるだろう」と捉えます。
この思考が強いと、少し失敗しただけで自分の可能性を否定してしまい、行動する気力がなくなってしまいます。
ポジティブ要素の否定
ポジティブな事柄が起っても無視し、ネガティブな方向へ転換してしまう思考パターンです。
例えば、仕事で良い成果が出ても、「運が良かっただけだ、周りが優れていただけだ。自分は優秀では無い」と捉えてしまいます。
周りからは謙虚な人と映りますが、あまりに極端だと自分を否定し続けてしまい、自己肯定感を下げてしまいます。
根拠の飛躍
現実的な根拠もなく、ネガティブな決めつけをする思考パターンです。
例えば他人の言動を自分の解釈で受け取り、「あの人はこういう態度をしたから、きっとこう思っているに違いない」と捉えてしまう人はこのパターンです。
また、将来のことを考えすぎた結果、考えが飛躍することもあります。
例えば、今自分は友達が少ないから10年後も孤独に違いない、私は魅力が無いからいつまでも結婚ができない、などと考えるパターンです。
根拠の飛躍は、「相手の心を読みすぎている」か「先読みの歪み」によって起こることがほとんどです。
ネガティブな決めつけをする前に一度立ち止まり、その結論には根拠があるのか?を冷静に見つめてみましょう。
フィルタリング
ネガティブな物事が起こると、それに引きづられて負の感情で頭がいっぱいになってしまう思考パターンです。
例えばSNSを投稿して、いいコメントがたくさんあるにもかかわらず、一部の批判コメントが目に止まってしまい、ずっと気になってしまうパターンです。
このパターンは、ものごとにはポジティブな面とネガティブな面両方持ち合わせていることを意識することが大切です。
感情的決めつけ
全ての物事を、自分の感情が事実の根拠かのように決めつける思考パターンです。
例えば、何か挑戦する機会があっても、不安を感じているから失敗するにちがいないと決めつけてしまうパターンです。
行動パターンが感情によって左右されてしまうので、先延ばし癖がついてしまったり、新しい挑戦しないようになってしまいます。
過大評価・過小評価
過大評価は、ポジティブな結果が出た時に、それを大きく捉える思考パターンです。
例えば仕事の成果を大袈裟に自慢したり、重要な課題が出ても深く検討せずに進めてしまう傾向があります。
反対に過小評価は、小さなネガティブ要素を大きく捉えてしまう思考パターンです。
例えば、小さなミスでもそれを大きく捉え、「私は本当にできない人間だ」と落ち込んでしまいます。
レッテル貼り
1つ2つだけの側面で、自分や他人にレッテルを貼る思考パターンです。
例えば、自分は頭が悪いから難しい問題は解けない人間だ、仕事ができないから成果を挙げられない人間だ、といったように解釈を単純化します。
また、他人へレッテル張りをすると、衝突する原因にもなりかねません。
例えば、「あの人は挨拶がそっけないから冷たい人間なんだ」とレッテル貼りをしていると、コミュニケーションを取らなければいけない場面で、「冷たい人」として接してしまい、言動に現れてしまいます。
マイナスなレッテル貼りは、コミュニケーションに支障をきたすだけではなく、差別や偏見にもなりかねないので、注意が必要です。自分も他人も多様な面を持ち合わせていることを意識してみましょう。
自分ごと化
自分に一見関係ないことも、自分ごとに関連づけて考えてしまう思考パターンです。
例えば、相手の機嫌が悪いときに自分は何もしていないにもかかわらず、自分が何かしてしまったんだ…と考え込んでしまうパターンです。
責任感が強すぎたり、周りをよく見て考えている人に多く起こる傾向があります。自分の影響が、相手にそこまで影響しないことを頭の隅に置いておきましょう。
すべき化
自分の信念や義務感に反した行動が許せない、と考える思考パターンです。
自分に対しては評価が厳格化しやすく、他人に対しては、行動の要求が多くなりがちになります。
例えば、「仕事で評価されないといけないから、営業成績をもっとあげなければならない」「あの人の意見で私は傷ついたから、あの人はもっとわたしに謝らなければいけない」などと考えます。
また、自分が過去に目標達成できなかった行動に対して、激しく後悔する傾向もあります。
例えば、「受験勉強をもっと頑張るべきだった。そうすれば今頃素晴らしいキャリアを築けたのに」などと考えます。
すべき化思考が極端になると、自分に対しては過度なプレッシャーで負の感情が生まれやすく、他人に関しては望まない衝突を生んでしまいます。
自分や他人に「すべき思考」を押し付けていないか、振り返ってみましょう。
まとめ| 世界はシンプル。まずは自分の思考パターンを振り返ってみよう!
いかがでしたでしょうか。
認知の歪みは自分でも気づかない間に、日に日に身に付いてしまうものです。
今回の記事を参考に、いままでの自分の考え方を振り返り、「自分はこのパターンに陥りがちだ」と気づくきっかけに少しでもなれば幸いです。