仕事の本質は問題解決と言っても過言ではありませんが、想定する問題自体の本質がずれていると、根本的な解決に繋がりません。
問題を解決したい時は、そもそもの問題が引き起こっている原因を考えることがとても大切。
そこでぜひ実践したいのが構造思考です。構造思考を発揮することで、問題解決がスムーズにできるかもしれません。
本記事では、構造思考を鍛えるメリットと鍛え方を紹介します。
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構造思考とは
構造思考の定義はさまざまありますが、ここでは「ある物事が起こっている原因の構造を因数分解すること」と定義します。
問題を解決したい時、どうしても目の前の出来事で判断してしまいがちです。
例えば、「カスタマーセンターの問い合わせが多く、人手が足りない状況」といった問題があるとします。一見すると「人手が足りないのであれば人手を増やすこと」が正解のように思えます。
しかし、人手を増やしたとしても、製品自体に問題があったり、費用が圧迫されて製品の質が下がる可能性も出てきます。
このように表面的な問題だけだと、本質的な問題解決方法になっていない場合が大いにあるのです。
構造思考を使うと、「そもそも、なぜ問い合わせが増えているのか」と根本的な問いかけができるようになり、本質的な解決方法を見つけ出すことができます。
問題解決することだけに囚われず、問題を引き起こしている原因が、どのような構造で引き起こっているのか考えることこそが、構造思考といえます。
構造思考が使える場面
構造思考は仕事のさまざまな場面で発揮することができます。ここでは構造思考を発揮すべき場面を紹介します。
”イシュー”を見極める
仕事において”イシュー”を考えることはとても重要です。イシューとは、仕事における取り組むべき課題・テーマをいいます。
一般的なビジネス書では、「問題をいかに上手に解くか」が重要視されがちですが、安宅和人著『イシューからはじめよ』では、「問題を見極めること」の方が重要だと説いています。
どんなに質の良い答えを用意できても、そもそもの問いかけが間違っていては元も子もありません。
仕事ができるビジネスマンは、問題に取り組む前にまず「そもそも、この問いは合っているのか?」を考えます。
このときに使える思考法が構造思考です。
構造思考があれば、物事の因果関係を整理でき、根本的な”イシュー”がなんなのかを見極めることができます。イシューの質を上げることで、仕事の質が決まると言っても過言ではないでしょう。
作業フローをマニュアルに起こす
単純な作業こそマニュアル化し、誰でも取り組めるように”パッケージ化”することが大切です。
しかしいざ普段やっている作業をだれでもできるようにマニュアル化するには、全体像を把握することが重要になってきます。
「構造思考」を使って、どんな立場・思考を持っている人でも代わりにできるようなマニュアルを作り上げましょう。
またミスや漏れがないか誰かにチェックしてもらう「Wチェック体制」を作る際も、「構造思考」が役に立ちます。
どのポイントがクリアできていればミスや問題が起こらないかをしっかり見極められることで、無駄な工数を省くことができます。
修正点を指摘するとき
仕事では、誰かが仕上げた成果物を指摘しなければならない場面も多くあります。
ですが、ただ問題を指摘するだけでは修正の意図が伝わらず、何度もやり直しになってしまう可能性があります。
なぜ相手がこのようなミスをしてきたのか、自分はどういう意図でこの作業を相手に託したのか、全体像を把握することで修正のやりとりが少なく済むかもしれません。
すぐに修正点を伝える前に、一度この「構造思考」を使って、根本的な問題点を把握しましょう。
構造思考を鍛える方法
構造思考は仕事で役立つ場面が多いからこそ、その力をしっかり身につけたいですよね。ここでは構造思考の鍛え方を3つピックアップ。日頃のルーティンに是非取り入れてみてください。
要点を因数分解する
どんな問題でも、複雑なポイントが絡み合って引き起こっていることが多いです。
どうしてその問題が起こっているかを正確に捉えるために、まず物事がどのような構成で成り立っているかを考えます。
例えば、先程のコールセンターの例で言うと、まず「カスタマーセンターの問い合わせが多い」という問題と「人手が足りない」という問題が引き起こっています。それぞれの要点を深掘り、因数分解していきます。
「カスタマーセンターの問い合わせが多い」という要素は、「どんな種類の問い合わせがあるのか」「時間帯はいつ頃が多いのか」「年齢、性別はどんな割合なのか」などに分解できます。
「人手が足りない」という要素はまず「1件の問い合わせにどれくらい時間がかかっているのか」「1人でどれくらいの問い合わせに対応できるのか」などに分解できます。
このように、より深掘った因数分解ができれば、より正確な分析ができるようになります。まずは、どのように因数分解できるかをしっかり考えましょう。
なぜ?を繰り返す
構造化は、より根本的な問題を見つけ出すための思考法です。そのため、問題が引き起こっている原因が何かを突き止める“視点”を持つことが大切です。
この視点を身につけるために、日頃から「なぜ?」と疑問を持つようにしましょう。
物事が起こる全てには、根本的な理由があります。日頃からあらゆる事象の根本的を考えることで、本質的な問題を炙り出す“視点”を持てるようになります。
ピラミッド化で構造を理解する
構造化する際は「ピラミッド型」で考えるとわかりやすくなります。
初めは大きな規模で分類し、その下に構成要素をどんどん細かく並べていく考え方です。
例えば、会社の構成を考えた時に、まず部門ごとでわけ、その下に戦略を考える部署があり、広告領域を担う部門があり、その下には…と言ったように階層で分けて考えていきます。
もし人事戦略を考える際は、分解した要素ごとにアプローチの仕方を考えたりもできるでしょう。
このように、ピラミッド型で考えると全体像を把握しやすくなります。
闇雲に全体像を把握しよう!と考え出すと時間がかかることもあるので、このような「フレームワーク」を一つ持っておくと、問題解決のスピードが上がるかもしれません。
まとめ
構造思考にはさまざまな定義がありますが、ここでは「問題が起こっている原因を構造的に捉え、因数分解を繰り返すこと」と定義しています。
問題を解決したい時は、単純に問題に対する答えを用意するのではなく、そもそもの問題が引き起こっている原因を考えることがとても大切です。
仕事の場面では「イシュー」を考える時、作業をマニュアルに起こす時、修正点を伝える時などに役に立ちます。
構造思考を鍛えるには日頃から物事を因数分解したり、「なぜ?」と考える癖をつけておくことが大切です。
構造思考を鍛えて、日々の業務に役立てましょう!