成功を手にするためには、大きな行動が必要だと考えがちです。
ですが、「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」では、日々の小さな習慣を積み重ねていく方がはるかに大切だと説いています。
本記事では、「ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣」を参考に、小さな習慣でなぜ人生を変えていけるのか解説していきます。
人生がうまくいかずに落ち込んでいるという方は、本記事を参考に習慣化に取り組んでみてください。
弱小チームが大逆転できた秘訣は?
本書では、成績が振るわなかった自転車競技チームを例に挙げています。
新しく着任した監督は、結果を出すために「小さな改善を積み重ねる」戦略を取りました。どんな小さなことでも見逃さず、何か改良できないかと試行錯誤を繰り返します。
たとえば、自転車のサドルを座りやすくする、タイヤを滑りにくくする…. 何百という小さな改良を積み重ねていきました。
結果、5年後のオリンピックでは、用意された60%の金メダルを獲得。その後の大会でも素晴らしい結果を収め続けました。
こういった小さな習慣は、小さすぎて変化を感じにくいかもしれません。
しかし、毎日1%の改善を繰り返すことで、1年後には37倍改善がみられます。何十年単位になれば、人生を大きく変えるほどの大きなインパクトになるでしょう。
習慣の複利効果は投資と似ている
小さな改善は目立たず、結果が出るにも時間がかかります。
しかし、習慣を続けることは投資でいう複利のようなもの。
複利とは、投資したお金に利子がつきその利子を再投資することで、さらに利子がつく雪だるま状態をいいます。
その効果は時間をかけるほど大きくなり、5年だと9万円しか差がなかったものが、10年で44万円もの差がつくこともあります。
習慣も積み重ねることで、同じように雪だるま式に効果が大きくなってきます。
例えば語学学習の例で言うと、初めは何もかもが初見の単語だったり文法が多く、覚えるのにも一苦労かもしれません。
しかし、ある程度知識がついてくると、単語と文法の結びつきが容易になり、スラスラと文章を作れるようになったり、ある程度法則性が見えてくることで新しい単語が増えても最初に比べて覚えることがそれほど苦じゃなくなってきます。
筆者の経験で言うと、最初は800字書くのに2週間もかかっていましたが、いまでは2日程度、作業時間だけで言うと2時間もあれば書き切れるようになりました。
これは、作業に慣れたことや要領を掴んだことが要因にあります。
まだまだ実力不足ではありますが、以前より早く書けるようになったのは事実です。これは少しずつ積み重ねたことによる複利効果だと思っています。
習慣の複利効果を利用する際に意識すべきこと
習慣の複利効果は私たちに良い影響を与えてくれますが、闇雲に小さな改善を重ねても努力は実りません。
ここでは、習慣化の複利効果を最大限発揮するために、意識すべきポイントを解説していきます。
習慣の方向性を意識すべし
習慣化をこれから始める段階か、または習慣化形成の最中であるなら、「自分がたどっている軌道」を意識してみましょう。
自分が思い描く理想に向かって軌道を描いていなければ、どんなに多くの努力を積み重ねても、行き着きたい未来には到達しません。
習慣化の影響は、飛行機の軌道修正にも似ています。
本書では、ロサンゼルスからニューヨークへ向かっている飛行機を例に挙げています。
もし、たった3.5度南へ向きを変えて離陸すれば、ニューヨークではなくワシントンについてしまいます。
ワシントンからニューヨークまでは約362Km。少しの角度の違いで、これほどの大きな差ができてしまいます。
しっかりと方向性を意識し、悪い習慣ではなく良い習慣を積み重ねていくことが大切です。
氷が溶けない停滞期があることを忘れずに。
習慣による成功への過程は、氷が溶けていく変化に似ています。
本書では、寒い部屋の中に氷を置き、少しずつ暖かくしていき、氷が溶けていく様子を例えています。
−3度から始まり、-2.5度、-2度…. 0.5度ずつ気温をあげていっても、全く変化はありません。
しかし、摂氏0度になった瞬間に氷が溶け始めます。同じ0.5度でも、-0.5度と摂氏0度では大きな違いがあります。
世の中にある飛躍的な進歩は、その瞬間にいきなり変わったように見えますが、実際は小さな変化を重ねた上で、ある瞬間を迎え大きく変化した結果であることが多いです。
携帯の歴史を変えたiPhoneの誕生も、1、2年の出来事ではなく、2003年ごろから開発を進めていました。また、本格的に普及したのは初代ではなく第4世代あたりです。
小さな改善を加えているにもかかわらず状況が変わらない…..と感じるのであれば、それはグラフでいう低い曲線にいるからかも。
しかし、変化の過程は直線的ではありません。最初は低い数値で停滞しますが、ある瞬間から大きく上昇していきます。
本書ではこの期間を「潜在能力のプラトー」と呼び、停滞期があることを受け入れて継続する大切さを説いています。
氷が溶けない停滞期があることを、しっかりと認識しましょう。
検証→改善を繰り返す
先述で例に挙げた自転車チームの改善の積み重ねは、改良を加えた後で、選手たちにどの程度いい効果が出るかを記録し、その結果によってさらに改良を加えていく方法でした。
方向性の話にも繋がりますが、改善を重ねていく過程で、一旦状況を振り返ってみることが大切です。
もし効果が出ていない改善だとしたら、積み重ねていても意味がありません。
改善した後は結果を振り返り、また改善を試みる。この繰り返しが習慣の繰り返しによる複利効果をもたらしてくれると言えます。
オリンピック選手は4年に一度の大会に向けて、小さな改善を積み重ねた上で、本番の大会で大きく結果を出しています。
良い習慣をある程度積み上げてきたら、方向性が間違っていないかの仮説・検証を忘れずに行いましょう。
まとめ
今回は、習慣の最大のメリットである「複利効果」について解説しました。
本書では、他にも習慣化までの4ステップを紹介。「きっかけ」「欲求」「反応」「報酬」のステップを踏むことで、習慣化が身につくまでを細かく紹介しています。
もっと細かく知りたい人はぜひ手に取ってみてください!