アサーションとは?DESC法の実践法や具体例を紹介!

コミュニケーション

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人間関係に悩む<br>ビジネスマン
人間関係に悩む
ビジネスマン
  • 自分の意見がなかなか言えない…
  • 無理な仕事を頼まれても断れない…
  • 部下がミスをするとつい怒鳴ってしまう…

ビジネスにおいてコミュニケーションの取り方はとても重要です。同じ問題が起こっても、コミュニケーションの取り方一つで、良好な関係にも険悪な関係にもなりえます。

自分の意見を言えない人も、ついカッとなってしまう人にもおすすめな方法がアサーションです。

アサーションは、対立せずに自分の意見も言うことができ、相手の意見も尊重できるコミュニケーション方法です。

今回は、アサーションの概要や、実践方法である「DESC法」、活用例などをまとめていきます。

対人関係で悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で解決できること
  • アサーション・​​DESC法の概要
  • 実践例を通した具体的なアクション

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アサーションとは

アサーション(assertion)とは、自分の意見、感情、権利などを適切かつ率直に表現しつつ、他人の意見や権利も尊重するコミュニケーション技術です。

近年重要視されるようになってきましたが、その歴史は古く1940年代までさかのぼります。

提唱者はアメリカの心理学者アンドリュー・サルター(Andrew Salter)。もともと心理学の分野で活用されてきた考え方で、行動療法や認知行動療法などで使われてきました。

現在では心理学の分野を超えて、教育やビジネスの分野でもコミュニケーションスキルの一つとして広まっています。

コミュニケーションスタイル3つ

著書「図解 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術 人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ」では、コミュニケーションスタイルは3つあるとし、例としてドラえもんのキャラクターを挙げています。

アグレッシブ(攻撃的):ジャイアン

アグレッシブは、自分の意見や感情を強引に押し通し、他人の意見や感情を軽視します。

コミュニケーションでは以下のような特徴が見られます。

  • 声が大きく、威圧的な態度
  • 他人を批判したり、攻撃的な言葉を使う
  • 強制的に自分の意見を押し付ける
  • 他人の意見や感情を無視する

ドラえもんの中では、「ジャイアン」が例に挙げられます。映画の中ではのび太と協力する場面もよく見られますが、漫画やアニメの中では、いつものび太に怒っているイメージですよね。ほかの友達にも、威圧的な態度で言い負かす場面も思い浮かびます。

アグレッシブスタイルは、一時的には関係性が続くものの、相手に緊張感を与えてしまい、反発や敵意を向けられ、長期的には人間関係が悪化してしまう可能性があります。

ノンアグレッシブ(非攻撃的):のび太

ノンアグレッシブ(時には「パッシブ(受動的)」とも呼ばれます)は、自分の意見や感情を表現することを避け、他人の意見や要求を優先します。このスタイルでは、自己主張を控えめにし、自分の権利を犠牲にすることが多いです。

人間関係に悩みを持つ方は、このスタイルが多いのではないでしょうか?自分の意見を言えず、一人で悶々と悩んでしまう性格の方がとても多いです。

コミュニケーションでは以下のような特徴が見られます。

  • 小さな声で話す、目を合わせない
  • 自分の意見を控えめに表現する、または全く表現しない
  • 他人の要求に簡単に従う
  • 自分の感情や欲求を抑える

ドラえもんの中では、「のび太」が例に挙げられます。いつもジャイアンに追いかけ回され、自分の意見があまり言えずドラえもんに泣きつく場面が想像できますよね。

ノンアグレッシブスタイルは、相手に対し不快感を与えづらいものの、自分自身にストレスがかかり、不満やうっぷんが蓄積しやすくなります。また、相手に利用されやすくなり、自分に不利な状況が続いてしまいます。

アサーティブ(自己主張的):しずかちゃん

アサーティブは、自分の意見や感情を率直に表現しつつ、他人の意見や感情も尊重します。もし対立することがあっても、自己主張と他者尊重のバランスを保ち、建設的な対話を目指すことが特徴です。

コミュニケーションでは以下のような特徴が見られます。

  • 明確で率直な表現
  • 落ち着いたトーンで話す
  • 自分の意見や感情を伝える一方で、他人の意見や感情を尊重する
  • 双方向のコミュニケーションを重視する

ドラえもんの中では、「しずかちゃん」が例に挙げられます。仲間内では、優しく聡明な存在ですが、のび太やジャイアン、スネ夫などに、はっきりと意見を言う場面もありますよね。

アサーティブスタイルは、自分の意見も相手の意見も大切に扱い、対話を通して関係性を築いていくので、信頼関係が生まれやすく、長期的にも良好で健全な関係が続きます。

アサーションはまさに、アサーティブなコミュニケーションスタイルである”しずかちゃん”を目指す技術です。

アサーションを成功させるDESC法とは?

アサーションを身につけるために用いられる方法が、「DESC法」です。DESC法は、アサーションがより実践的にみにつくために用いられる実践方法です。

DESC法には4段階あります。

① DESCribe(描写する)

今ある問題を客観的に描写します。

この段階では、自分の感情は一切入れずに、第三者から見た状況であることを意識して整理します。

問題や状況を客観的かつ具体的に説明することで、相手に状況を正確に理解してもらいます。

反対に感情や意見を交えると、相手が防御的になったり、誤解を生んだりする可能性が高くなるので、注意が必要です。

② Explain(説明する)

①の説明プラス、自分の主観的な気持ちを伝えます。

自分の感情を率直に表現することで、相手に自分の立場や気持ちを理解してもらいます。

反対にここで第三者の意見を入れてしまうと、論点がずれやすくなるので注意が必要です。あくまでも「私はこう思っている」と抱いた感情を素直に表現しましょう。

③ Specify(提案する)

起こっている問題に対する、現実的で実行可能な解決策を提示します。

具体的な要望を明確に伝えることで、相手が何をすればよいかを理解しやすくなり、行動に移しやすくなります。あいまいな要望では、相手がどう行動すべきかを理解できません。

また、ここで伝えるのは「命令」ではなく「提案」であることに注意しましょう。あくまでも提案なので、相手が断る余白を与えることがポイントです。

④ Choose(選択する)

提案に対して相手の反応を見て、次の行動を選択していきます。

③は提案ですので、相手が断ることも十分に考えられるでしょう。もし断られた場合は、相手と自分が納得できるような折衷案を再度提示します。

このように提案と選択を繰り返すことで、どのような行動を取るかを相手と一緒に決めることができます。相手に決定権があると感じさせるため、決まった方針に対しても相手の協力を得やすくなるでしょう。

また「話し合って問題を解決できる相手」だと認識してもらえ、信頼感もグッと高まります。

アサーションを成功させるDESC法の活用例

では、DESC法の活用例を場面ごとに例を挙げて見ていきましょう。

活用例 ① : 部下がミスを報告してきた

部下がミスをしてしまったことは、チームとしての損失でもあります。こういったマイナスな状況こそ、DESC法が効果を発揮します。

具体的な会話例を見ていきましょう。

部下: 「すみません、プロジェクトの進行中にデータ入力でミスをしてしまいました。一部のデータが間違って入力されてしまい、その影響で報告書に誤りが出ています。」

上司: 「報告してくれてありがとう。ミスが発覚した時点で迅速に対応するのが重要です。どのデータにミスがあったか、具体的に教えてもらえますか?一緒に修正方法を考えましょう。」

部下: 「はい、すぐに詳細をお伝えします。再発防止のために、データ入力のプロセスを見直すことも提案したいです。」

上司: 「それは良い提案ですね。ミスの修正が終わったら、プロセス改善について話し合いましょう。これを機にチーム全体の精度を上げていけるようにしましょう。」

上記の会話例では、今起きている問題の客観的な事実と主観的な意見がうまく盛り込まれています。また、上司は一緒に考える姿勢を見せており、部下は安心して意見を述べることができています。

活用例②:プロジェクトの方向性の意見が異なった

ビジネスを進める上で、意見が対立することはよくありますよね。こういった場合こそ、DESC法を用いることで、対立を避け双方の意見を尊重した話し合いができます。

具体的な会話例を見ていきましょう。

ビジネスマンA: 「私は、このプロジェクトの成功には市場調査を徹底的に行い、データに基づいた戦略を立てるべきだと考えています。」

ビジネスマンB: 「その点は理解できますが、私は逆に、迅速にプロトタイプを作って市場に投入し、フィードバックを基に素早く改善するアプローチが良いと思います。」

ビジネスマンA: 「あなたのアプローチも一理あります。では、初期段階では市場調査を行い、その結果を基にプロトタイプを迅速に開発する方法を取るのはどうでしょうか?両方の利点を活かせると思います。」

ビジネスマンB: 「それは良いですね。市場調査の結果を迅速に反映できるように、プロジェクトのスケジュールを調整しましょう。」

上記の会話例では、意見が異なることに対して否定するのではなく、一度受け入れた上で折衷案を提示できています。最終的に相手と自分の意見が盛り込まれた解決策に決定したので、双方ともに健全な話し合いができたといえます。

活用例③:上司から無理な仕事頼まれた

上司からの依頼は、無理なタスクだとしてもなかなか断れないですよね。自分の意見が言いづらい状況こそ、DESC法を用いて考えを表現し、対等な関係性を主張することが大切です。

具体的な会話例を見ていきましょう。

上司: 「このレポートを今週末までに仕上げてほしいのですが、お願いできますか?」

部下: 「今週末までに仕上げるのは難しいです。既に他の重要なプロジェクトに取り組んでおり、期限に間に合わせるためには他のタスクを調整する必要があります。」

上司: 「わかりました。では、どのタスクを優先すべきかを一緒に見直しましょう。もし可能なら、他のチームメンバーに一部のタスクを分担させることも考えたいです。」

部下: 「ありがとうございます。現在のタスクの進捗を共有しますので、最適なスケジュールを一緒に考えていただけますと幸いです。レポートも可能な限り早く取り掛かります。」

上記の会話例では、部下が客観的な事実と自分の意見をしっかり伝えられています。上司もそれを受けて折衷案を一緒に考える姿勢を見せており、ほかの代替案の提案もできています。

会話例から見るように、事実と意見を冷静に伝え、一緒に解決策を考える姿勢を見せることで、双方どちらの意見も取り入れた解決策を考えることができ、健全なコミュニケーションを取ることができます。

DESC法を実践する際に大切なこと3つ

DESC法を実践する際は、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、3つの注意すべきポイントを見ていきます。

Iメッセージを意識する

Iメッセージとは、「私は〜」という形で自分の感情や意見を表現する方法です。

例えば、「他の人も同じ意見だ」と第三者の意見を入れてしまうと、相手は「他の人とは誰を指しているのか?」と疑念を抱き、議論が本題から逸れる可能性があります。

自分の意見や感情を「私」を主語にして伝え、発言の責任を自分にすることで、相手はあなたの本音を理解しやすくなります。

例えば、「みんながあなたの発言を問題だと思っている」と言う代わりに、「私はあなたの発言が問題だと感じています」と伝えることで、責任の所在が明確になり、相手も受け止めやすくなります。

第三者の意見を交えず、「わたしはこう思っています」と率直に伝えましょう。

対等であることを意識する

対等な立場で話し合うことも、DESC法を実践する上で欠かせない要素です。

対等であることを意識することで、双方が尊重され、意見が対等に扱われる環境を作り出せます。

相手を見下す態度は、いくら取り繕っても相手に伝わります。反対に自分を下げる態度を取っても、相手が強く出てしまい健全な関係性を保つことが難しいでしょう。

一方的に指示を出したり、相手の言いなりになるのではなく、共同で解決策を見つける姿勢を取ることで、信頼関係が強化され、効果的な問題解決ができます。

対等だからこそアサーションは成立することを、頭に入れておきましょう。

相手の意見を受け止める心を持つ

自分の意見を言うと、相手が異なる意見を言ってくることもあるでしょう。

意見が違うことはごく自然であって、異なるからといってどちらかが間違っている訳ではありません。

相手の意見や感情を受け入れつつ自分の意見を取り入れ着地点を調整することで、双方にとって満足のいく解決策を見つけることができます。そして相手は自分が尊重されていると感じ、信頼関係が深まります。

相手の意見も受け止めつつしっかり自分の意見も述べ、どちらも納得できる提案を心がけましょう。

まとめ|DESC法で良好なコミュニケーションを築こう!

アサーションは自己主張的なコミュニケーション技術であり、自分の意見や感情を率直に表現しながらも、他人の意見や権利を尊重することを目指す方法です。

アサーションを達成するための具体的な方法として「DESC法」が挙げられます。

DESC法は、①DESCribe(描写する)②Explain(説明する)③Specify(提案する)④Choose(選択する)の4段階で成り立っています。

DESC法を実践する際は「Iメッセージを意識する」「対等であることを意識する」「相手の意見を受け止める心を持つ」ことを心がけましょう。

相手と衝突しそうになった時こそ、信頼関係を築くチャンスです。今回の記事を参考にDESC法を実践してみてくださいね。

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